焼鳥物語


わたくし、焼き鳥が好きです。
鳥は嫌いですが(2005/08/16の日記)、食べるのは何の抵抗もございません。
これはヒロシもそうでして、私は娘の割に、よく父とサシで飲みに行った方だと思います。これで息子だったら、ヒロシも楽しかったろうに。


昨日も少々触れましたが、ヒロシとその友達が飲んでいる所に呼び出され、調子にのって飲み続けるヒロシを止めるどころか、一緒になって騒いでしまい、家からタクシーで10分くらいの所で飲んでいたのに帰れなくなり、母に迎えに来てもらった事がありました。それも1度や2度ではありません。
また、「ハンドパワーです」で有名になられた某マジシャンが、都内ホテルのバーでアルバイトをされていた頃(お客のテーブルに付き、マジックを披露してチップを貰っていた)、ヒロシは「なぜコインがグラスを突き抜けて落ちるのか」が気になって仕方なく、毎日「今日こそタネを見破ってやる」と意気込んで出掛けるものの、泥酔し、わからず仕舞いという、絵に描いたような“いいカモ”だったのですが、そこにも1週間ほど一緒に通わされ、結局私もわからず仕舞いで終わっていて、どこでも『酒に飲まれる』父子なのです。


一時、五反田に気に入った焼き鳥屋があり、週1ペースで通っていた事がありました。
わたくし、その頃(以前にも書きましたが→2005/10/02の日記)真っ黒(皮膚)で真っ青(服)だったので、どこからどう見ても『夜の部』風だったんですね。「ギルガメッシュ!」感満載でしたし。一緒に行っていた、幼馴染みのエリはバービー人形のようでしたし。
店でも名物になっていたようで、焼き場のおにいちゃんも、揚げ場のおじさんも「毎度!」と迎えてくれていました。


結構混んでいる店で、待たないで入れる事は珍しく、いつも10〜15分程、入口横のベンチに座って待ちます。
「早く誰か出ないかな」と不謹慎にも自分達の代わりに帰る客を探して店内をキョロキョロしていると、どうも見慣れた顔が。
ヒロシ。ニタニタしながらこっちを見ています。仲良しのイソベちゃん(彼がまた面白い)とイワサキさんも一緒です。思わず声をあげてしまいましたよ「あ!パパ!」って。
店の中が一瞬ね、「やっぱり」って雰囲気になりましたよね、「皆さんでテーブルに移られますか?」と言われましたよ。
いやいや、パパって「お父さん」って意味だから。ファーザーだから。ダディだから。こんだけ顔も一緒だから。
誰も信じてはくれませんでした。皆、苦笑し「はいはい」と酔っぱらいの戯言の如く聞き流され、私の『訴え』はだんだん『言い訳』に聞こえてきて。


それから、その焼き鳥屋には行けなくなってしまいました。
一緒の店に通っていたなんて。悔しい。
ヒロシは、何も気にせず、通い続けていた風でした。
焼肉もいいけど、焼き鳥も久しく行ってないな。