ユミ結婚式



一週間前の天気予報からずっと雨マークが表示されていたが、どうだ、晴れたぞ。気温もぐんぐん上がった。ユミの運の強さが出たと思う。
スピーチを頼まれていた。今まで何度かスピーチを頼まれたことがあるが、今回ほど困ったことはない。裏の裏まで知っている仲だが、おめでたい席でご披露できる話はひとつもない。お酒の場での失敗談が主、すべて二次会向けのエピソードである。仲が良すぎるとかえって話す事がないと聞いたことがあるが、なるほど、こういうことか。少々距離がある付き合いの方が、意外とスラスラ安牌な言葉が出てくるものだ。最終的には「ウソでもいいからヨロシク」という感じだったが、なんとかまとまった。


知り合って10年、社会人になってこんなに気が合う友達ができるとは、正直思ってもみなかった。図々しく彼女の郷里へ何度も押し掛け、親子水入らずのところを邪魔し続けてきた。それほど、彼女の家族は仲が良く、魅力的だった。そして食べ物が美味しく、自然豊か。東京生まれで核家族の家庭に育った私にとって、彼女の持っているこの環境が、どんなに羨ましく映ったことか。
初めて彼女の実家へお世話になった時、往路の新幹線で。私は元々そういった環境に憧れていて、でも彼女は逆で、お互い無いものねだりなのだと話した。互いが、自分では気づくことの出来なかった、違うモノサシから周囲を見渡した時、その観点を初めて共有できたことが、私達の距離を一気に縮めた最大の理由だった。あの時の会話が、私達の初めの分岐点だった。それから、いくつもの分岐点があったが、あそこで違う答えが返ってきていたら今のこの関係はなかったであろう。


今日この日を、本当に嬉しく思う。残念ながら写真を載せられないが、本当に綺麗だった。幸せそうだった。ご両親をムービーで撮っていて、ブレまくった。鼻をすする音もたくさん入ったと思う。いやー、泣けた。
久しぶりに会えた友達もいて、いつまでも飲んでいたかった。これをキッカケに、また集まりたい。


おめでとう!ユミ!